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有期労働者の無期契約への転換

〝有期労働契約者の無期労働契約への転換”

 今回は改正労働契約法、特に有期労働契約者の無期労働契約への転換の問題を取り上げてみたいと思います。

 有期労働契約の適正な利用のためのルールとして、2012年改正労働契約法が成立し、①雇止め法理の法定化、②無期労働契約への転換、③不合理な労働条件の禁止が新たに盛り込まれました。

 この法改正で最も重要な内容は、②無期労働契約への転換であるといえるでしょう。有期労働契約が繰り返され、通算5年を超えた場合、労働者の申し込みにより期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるという内容です。

 有期労働契約は、嘱託、準社員型契約社員、パート社員、アルバイト、期間労働者をはじめ、いわゆる正社員以外の労働形態に多く見られる労働契約の形態であり、有期労働契約で働く人は全国で約1,200万人と推計されています。

 独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)が2013年11月に実施した調査によると、当時の改正労働契約法の認知度は、「改正内容まで知っている」が63.2%、「改正されたことは知っているが、内容はよく分からない」が30.4%でした。

 対応方針では「未定・分からない」がもっとも多く37%、これに次ぐのは「通算5年を超える有期契約労働者から、申込みがなされた段階で切り換えていく」が28%、「通算5年を超えないよう運用していく」が14%でした。実際に無期転換が生じるのは2018年4月以降ということもあり、2015年10月の現時点でも、詳しい情報収集はこれからという企業も多いのではないでしょうか。

 中には「更新を5年繰り返した場合は正社員にしなければならない」といった誤解もあるようですが、無期労働契約の労働条件(職務、勤務地、賃金、労働時間など)は、別段の定めがない限り、直前の有期労働契約と同一となります。別段の定めをする場合であっても、職務内容が変わらないのに労働条件を従前より低下させることは望ましくないと通達されています。

 正社員あるいは無期契約に転換させても良いと考える企業の割合はフルタイムの契約労働者では70.0%、パートタイム契約労働者では55.6%となっています。

 無期契約になるからと言って、正社員に登用しなければならない訳ではないのですが、正社員以外の無期労働契約を幾通りも設けることの煩雑さを避けたいとの考えから、企業は「通算5年を超えないよう運用」するほか、勤務成績が平均以上と評価できる有期契約者については、初級職(Ⅰ等級)の正社員への転換を、前向きに検討することになるかも知れません。

 事実、正社員への登用については「能力によっては登用」あるいは「一定期間を超えたら登用」するとの答えが多く、すでにそうした登用実績があると相当数の企業が回答しています。


 
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昇格昇進のための能力評価

〝昇格昇進のための能力評価”

 「我が社の明日を、誰に託すか」それは永く繁栄し続けなければならない宿命を背負う企業の実力経営者にとって最大のテーマであり、昇格昇進候補者の選考にこそ、真の能力主義は貫かれていなければなりません。

●時が経つに従って階層社会のすべての地位(ポスト)はその職責を全うしえないレベルの従業員(下位等級の仕事ぶりまでは評価された)によって占められるようになる傾向がある。
●それでも仕事はまだそのポストで無能のレベルに達していない従業員によって遂行される。

 生産性の低い組織を皮肉たっぷりに例示したような話ですが、これはカナダの階層社会学者ローレンス・J・ピーターが唱えたピーターの法則の有名な一文です。

 「企業は仕事の集合体であり、実力幹部を中心に生き生きと能率良く躍動する若々しい生命体的なもの」という視点に立てば、組織上位の責任ある仕事になるほど、より高度な仕事力と先見力そして判断力が求められます。
       
 「誰にその責任ある仕事を委ねるのが一番賢い選択か」が常に問われるだけでなく、やるべき「仕事の権限と責任と義務」を明確にしておくことも必要です。高学歴だから、勤続が永いから、良い人だからといった理由で一番無難なレベルの人を選んではいけないのです。補佐役がいなければ職責をまっとうできない。そんな程度の仕事力しか身につけていない上級管理職など論外であり、無難に勤めればみんな偉くなれる会社はピーターの法則の予言どおり潰れてもおかしくないと言うことにもなります。
 
 「高い給料さえ出せば優れた人材がいつでもスカウト採用できる」と豪語する経営者もおられました。しかし、それは高コストの割に失敗する確率の高い、極めてハイリスクで危険な話です。
 
 なぜなら、企業にとって明日を託すに値する人材とは時間をかけて我慢強く育てた逸材のことであり、実力に相応しい活躍で期待に答えてくれる社員のことだからです。

 より重大な、責任ある仕事を余裕で処理し、難題にも果敢に挑戦し、良好な結果で期待に答えてくれる。そんな優れた上級社員の仕事力を日々評価し、実力管理職に育てあげる努力が企業には必要なのです。つまり真の能力主義は昇格昇進者の選考にこそ貫かれていなければならないのです。


 
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責任を担える正社員を育てる

〝より良い商品と最善のサービスを滞ることなく適正な価格で提供したい。”

 それは飽くなき業務改革、コスト削減努力の積み重ねであり、多くの企業が人件費コストを圧縮する目的からパートタイマー、非正規従業員の戦力化に努め、雇用形態の多様化を進めました。

 「労働の対価として決められた給料を払う」仕事給の立場を取れば、同じ仕事を続ける限り、給料は同額払いということになります。これが同一労働同一賃金の原則であり、米国流のシングルレート職務給の考え方です。日本でもアルバイト、臨時従業員、嘱託社員の給料はこの仕事給といえます。

 日々単純仕事を言われたとおりに繰り返えす程度であれば、このシングルレートの仕事給で問題ないでしょう。しかし、たとえパートだとしても、何年勤めても、評価もされず、給料が上がらないとなれば不満が残るし、働きぶりはすぐにマンネリ化してしまいます。米国流の仕事給では「やる気」および「向上心」と密接に結びつく仕事ぶり(仕事品質の向上)に対する勤務評価と報われたと実感できる賞与や給料の仕組みが存在しないことに問題点がありました。

 しかし雇用形態の多様化は必然であり、パートやアルバイトの活用が職場の鍵だとすれば、勤務成績の評価と報われたと実感できる報酬の仕組みは必要であり、日々職場を束ねる正規従業員(以後は正社員と言う)の役割はさらに重要となってきます。自分の頭で考え、創意工夫を怠らない、責任ある職位を担える正社員をひとりでも多く育てねばなりません。

 「うちの従業員には、やる気も向上心も感じられない」と愚痴をこぼす経営者がおられました。しかし実際に話を伺うと、問題は従業員が怠けているということではなく、給料分という言葉どおり、クビにならずにすむ程度の役割しか果たさず、それ以上の努力をしようとしないということでした。

 なぜ、それ以上の努力をしようとしないのかと言うと「もっと良い仕事がした。評価してほしいと思う気持」が希薄だからであり、原因はきちんと個々の社員の勤務成績を評価し、報いていく賞与配分と向上心を高める給与改定の仕組みが会社の体制として整えられていないからでした。

 やる気ある、向上心の強い社員を雇用し、ぞんぶんに働いてもらおうと思えば、その責任の重さ、仕事の難しさに相応しい給料が必要であり、期待通りの仕事ぶり(仕事品質の向上)であった時には褒め、その仕事の成果に相応しい賞与配分と実力昇給の仕組みを賃金制度として整え、社員のモチベーションを維持し続けねばなりません。

 それこそが日本ならではの良好な労使関係の原点であり、この会社こそ自分の人生を託し、ともに成長できる法人だと確信できる処遇の仕組みなのです。




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試用期間とその間の給料の決め方

 面接試験や筆記試験を経て、これはと思う新人の採用を決めました。この採用に際しての試用期間とその間の給料をどう決目ルかを考えて見ましょう。

 労働基準法(第21条)が定める試用期間は2週間ですが、多くの会社は人事政策上の必要から、試用期間を3ヵ月ほどに定めて、その間は正規の 従業員と区別して取扱っているのが通例です。

 「試用期間は3ヶ月では短すぎる。仕事ができるかどうかを見極めるには、試用期間1年は必要です。」と、ある社長が真剣な顔で言われました。この 社長の考えを皆さんはどのように思われるでしょうか。

 「慎重に見極めること自体は決して悪いことではありません。しかし1年の試用期間は長すぎませんか」とお尋ねしました。すると「ロクな応募者 が来ないから」がその答えであり、試用期間1年の根拠だったようです。 

 採用選考で大切なことがあります。それは応募者も人であり、会社あるいは社長を厳しい目で評価しており、会社を選ぶ権利があると言うことで す。

 本気でその仕事に向いている人かどうかを見極めようと思えば1ヶ月ほどで分かるでしょうし、3ヶ月くらいで結論を出してあげるべきではない でしょうか。結論を先延ばしすれば、断わられるのが道理です。

 たとえ、目を見張るほどの優秀者の採用は無理だとしても、少しでも優秀な社員を逃がしたくないと思うのであれば、結論は早く出すべきです。

 さらに社長はおっしゃいました。「試用期間中はほどほどの金額に抑えておいて一応仕事をしてもらう。よくできるようであれば、1年後の正社員 登用時に思い切って見直します」。試用期間中の初任給を低めに抑えているとのことでした。

 しかし、優秀な人材をタイムリーに採用したい、少しでも優秀な人材が欲しいというのなら、それなりの金額をはじめから提示すべきであり、より良い人材に会社を選んでもらうためにも試用期間中だからと給料を安く抑えて、良ければ増やすなどという歯切れの悪い条件提示は慎むべきでしょう。


 経営者の中には「中途採用だから」と半ばあきらめている方もおられますが、それでも中途採用は必要と言うのであれば、これはと決めた採用者に は試用期間中から期待にふさわしい初任給はきちんと出すべきです。

 加えて登用後の処遇について、賃金制度・評価制度の良さをきちんと説明して、安心して仕事に励める職場であることをおおいにPRすべきです。



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 賃金管理研究所では、9月に「経営者のための賃金実務セミナー」として1日集中セミナーを、東京・名古屋・大阪で順次開催いたします。
 タイトルは、

 やる気を引き出し生産性をアップする 『給与制度づくり-普遍の法則』」 です。

 今年は賃金制度を改善し再整備していくうえで、外してはいけないポイントを、当社コンサルタント・大槻 幸雄より、集中的にお話しする予定です。賃金制度づくりのポイントをしっかり押さえていただくことが重要なのはもちろんですが、その前に「わが社の問題がどこにあるのか」「社員のモチベーションが上がらない原因は?」と根本原因に気付くことも何より大切なことです。

 50年を超える賃金管理研究所の指導実績から得たノウハウを、皆様の会社の賃金・評価制度改革にお役立ていただけます。賃金制度づくり(改善・整備)をご検討されている会社は是非この機会にご参加ください。


【日時および会場】
 ◆東 京 開催  9月20日(木) アルカディア市ヶ谷
 ◆大 阪 開催  9月25日(火) 新梅田研修センター
 ◆名古屋 開催  9月26日(水) ウインクあいち
  時間はいずれも、10:00 ~ 16:30となります。

【講師】
 ◆賃金管理研究所 取締役  大槻幸雄
 
【参加費】
 33,600円
(テキスト・資料・食事代を含みます)
 
【パンフレット&お申込み方法】
 お申し込みはセミナーパンフレットのお申込欄に必要事項をご記入の上、FAXにてお申し込みください。
 パンフレットは弊社HP
〔トップページ: http://www.chingin.jp 〕よりダウンロードいただけます。




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給与相場の高い専門職種を中途採用するときの給料の決め方

 正規の給与基準では雇い入れができず、かといって正規従業員とのバランスも無視するわけにもいかない。そんな特別な技術や特殊な技能を必要とする仕事があります。今回は、このような場合の雇用と給料の決め方について考えてみましょう。

 一つは嘱託や契約社員として、より高額の年俸で処遇する方法です。期間の定めのある契約雇用ですから社内の正規従業員とのバランスはあまり問題になりません。
 何故なら、それらの契約社員には、昇給や賞与、あるいは退職金のことなども、原則としては正社員と一緒に考える必要がないし、高給であっても身分的には解雇可能の立場におかれているからです。
 特殊研究職、嘱託デザイナー、コピーライター、カメラマン。加えて為替ディーラーやファンドマネージャー、そして医療現場を支える医師等の高度専門職にそうした例がみられます。
 職人の組合や、会などから派遣されている料理職人や船上勤務者の例なども、これに属すると考えてよい場合があります。

 その一方で、正規従業員としての採用が妥当ではあるが、通常の賃金水準から見れば、高い給料を保証する必要のある職種があります。
 正規従業員としての雇用する限り、賞与や昇給、昇格から退職金のことも正社員とのバランスを考えざるを得ないので、みだりに基本給を高くすることは許されません。結局は共通基準として定めた「責任等級」を根拠に基本給を定め、それに職種を考慮した「特技手当」をプラスして給与支給する方法をとることになります。

 「特技手当」の本質は、仕事に欠かせない技術や技能を評価して、給与を保障するのですから、「公の免許認定制度」のある仕事に付けられる傾向があることも当然です。しかしその本質は「免許資格をもっているから付ける」というものではなく、その職種に携わる場合の給与水準が他の職種より高いから、差額分を、「特技手当」という名目で補うわけです。

 「特技手当」は、その職種の仕事に携わっている時に支給される手当ですから、公の資格を持っていても、他の職種に異動したときには不支給とします。
 このほか特殊車両の運転手や薬剤師あるいは看護師等の中には市場賃率との関係で、「特技手当」に加えて「調整手当」を付けざるを得ないケースがあります。本来、「調整手当」とは毎年漸減することを条件として設定する手当ですから、昇給制度等の運用に当たっては、他の正規従業員の昇給と若干区別せざるを得ないと考えられます。



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